家族

怯えながらも、段々と僕との生活にも慣れてきた。
小さな子猫。真ん丸な瞳。細い体に長い尻尾。ピンク色のお腹
小さくか弱い鳴き声を上げ、その小さな体で足元に寄り添って来る。
僕が踏まないようにじっとしていると、トラノスケは体中を擦り付けては、
その行為を何度も繰り返す。僕の右足に体を擦り付け、そのまま左足に、
あまがみをするのだけれど、それでもトラノスケは、僕の足へすり寄って、何度も何度も
彼の匂いを、僕へ擦り付けてくる。彼の匂いが僕へ移される。
僕たちはそうやっていつの間にか家族になっていった。