出会い

五月雨が風に吹かれ、霧のように散る夜、街路樹の下で、小さな体を震わせながら、
行きかう人々に、恐る恐る、気が付いて欲しいのか、欲しくないのか
弱々しい鳴き声を響かせていました。
コンビニの袋を片手に抱えていた僕は、その鳴き声に気付き、その声の方へ近づくと、
警戒したのか、木の陰に隠れ、離れると鳴き始め、そのやり取りを何度か繰り返すうちに、
ようやく逃げることをやめ、僕の差し出した指先へすり寄って来ました。
小さくやせ細っていたその子猫を、僕は無心に抱き寄せ、家へと持ち帰りました・・・
そうして、6年前の初夏の夜から、僕らの生活は始まりました。